0.目次
1.はじめに
2.無意識の噛みしめ
3.そしゃく筋と頭痛
4.予防と一般的な治療
5.肩こりとの関係
6.シーベルズ大磯の治療方法
1.はじめに
緊張をしているかどうかは、顔を見るとわかります。表情筋が緊張しているからです。表情筋以外にも色々な筋肉が緊張しますが、その最もたるものがあごの筋肉です。
あごの筋肉は、ものを噛むときに使うので「そしゃく筋」と呼ばれます。そしゃく筋は、表層と深層に4種類あります。分かり易いのは、耳の穴の前に頬骨のすぐ下にあるそしゃく筋です。押してみますと、コリや痛みがある場合は、あごの筋肉が疲れている証拠です。
あごは複雑な動きをしていますので、どこかの筋肉が凝って固くなっていると顎の動きが悪くなります。顎には半月円板という軟骨があるのですが、それがすり減ります。次第に、口が開きづらい、口を開けるときに音がする・痛みがある、下あごが左右どちらかにずれている、などの症状があらわれます。これが顎関節症です。
2.無意識の噛みしめ
世の中には、本当はこう言いたいのに言えないということがよくあります。「奥歯にものが挟まったような言い方」しかできない時に、私たちは無意識のうちに奥歯の奥にあるあごの関節を緊張させます。また、我慢することを「歯を食いしばる」という表現をつかいますが、これもあごの関節に負担をかける行為です。
歯を食いしばるのは、何も重いものを持ったときだけでなく、寝ている時やパソコン作業をしている時にもみられます。歯ぎしりの音は「ガリガリ」とものすごい音がしますよね。歯が欠けてしまうのではないかと心配してしまうほどです。無意識だからこそ、あそこまで強く噛み締めることができるのだと思います。
また、パソコン作業についても、あるテレビ番組で実験していたのですが、無意識に歯をくいしばっていることが分かりました。最近は、とくに若年者にこの顎関節症が増えているようです。明確な理由は分かっていませんが、小さいころから堅い物を食べる機会が少なくなっているので、あごが昔の人よりも弱くなっている事やストレスによる緊張で、無意識のかみ締めをしているのではないかと思います。
3.そしゃく筋と頭痛
噛む筋肉には、頭にもあります。耳の上に指を置いてかみ締めると、筋肉が動くのが分かると思います。やはりかみ続けると側頭部の筋肉が緊張し、頭痛の原因となります。
片頭痛の症状は、側頭部の片側(時に両側)が、ズキンズキンと脈打つような強い痛み(拍動性頭痛)にがあり、はっきりとした原因は特定されていません。しかし、片頭痛持ちと思っていた人が、実は側頭部の筋肉が緊張したのが原因ということも多々あります。何十年も悩まされた頭痛が、側頭部の筋肉に鍼をするだけで痛みがとれてしまうことは珍しくありません。
4.予防と一般的な治療
顎関節症の症状が強い場合は、まず口腔外科や歯科医に相談することをお勧めします。歯を削って噛み合わせを修正したり、マウスピースを作るなどの治療になると思います。これでうまくいけばラッキーです。
軽度の症状の場合ですが、片側だけで噛むことや手をあごにあてて休むなどの癖がある方が多いので修正します。
また、パソコン作業が必須の世の中ですから、職場が許される環境であるなら、ガムを噛みながらパソコン作業をすると良いですよ、と提案しています。野球選手がガムを噛んでリラックスしているのと同じです。ガムを噛んで唾液をたくさん出すことは食べ物の消化吸収にとってはいいことなので、一石二鳥です。
5.肩こりとの関係
肩こりの治療をしていて効果が長続きしない方が時々います。そういう時は、顎関節症を疑います。カルテには既往歴を書いていただくのですが、書き忘れてしまう方も多いのです。確認してみると、多くの方が顎関節症の治療中や治療経験はあるがうまく治っていないのです。顎を先に治療してから肩こりの治療をすると、効果が高くなることがあります。
6.シーベルズ大磯の治療方法
顎関節の治療は、現代医学でもやっかいなようで、よくご相談をいただきます。インディバアクティブか鍼治療+マッサージ(筋膜リリース)になりますが、基本方針はそしゃく筋を緩めることです。単純な治療ですが、実にスッキリと治ることがあります。インディバアクティブは、深部まで熱が届きますので、奥にあるそしゃく筋を緩めることができるのです。鍼もそしゃく筋に直接入れていきます。